校舎の北側にある階段を、三階まで上がり、左側に曲がると、図書室と書いた部屋が見えた。
 (この中・・・・か・・・)
 そっと図書室のドアを開けて中に入ると、大量の本が所狭しと本棚に並んでる。
 本棚は入り口から見て、壁のように幾重にも立ち並んでいて、奥は見えないようになっていた。
 海馬は遊戯を探しながら、その奥へと足を進める。
 (いつ来てもここは静かだな・・・。)
 本棚の迷路の中を探してみたが、遊戯は見当たらなかった。
 (・・・・・・・。)
 ふと視線を奥にある扉に目を向けると、窓際の奥には司書室がある。
 そこにはちょっとしたテーブルと、図書室に最低限必要なものは置いてあるのを、海馬は知っていた。
 このような日は海馬自身も、学校にパソコンを持ちこんで、ここでよく会社の仕事を片付けていた記憶があるから・・・。
 (・・・・・ここか?)
 司書室の扉を手前に引くと、朝の光を受け、窓の外を見つめている遊戯の姿が、そこにあった。
 肩を落として、なんとも寂しげに・・・。
 ただいつもと違うのは、千年パズルをしていなかった事だろうか・・・・。
 「遊戯・・・。」
 声をかけても、反応しない・・・・。
 (・・・どうしたというのだ?)
 不審に思った海馬は、遊戯の肩を掴んで、自分の方へと向かせようとした。
 (・・・・・・!!!!)
 不意に掴んだ肩が、思っていたよりも細い感じがした。
 そして、振り向かせた遊戯の顔は、無表情のまま、涙を流して・・・。
 その目は虚ろだった。
 以前のような覇気も見当たらない。
 ただ、目を開けているだけ・・・。
 (・・・オレすらも見えていない・・・のか・・・?)
 まるで人形のような遊戯の肩をゆすりながら、海馬は聞く。
 「おい!!エジプトで何があった?!」
 遊戯は、海馬にされるがまま・・・。
 「・・クッ・・・答えろ!!!遊戯!!!」
 強くゆすると、虚ろな瞳を海馬に向けた。
 そして口を開いた・・・。
 「・・・・もう・・・・、いない・・・・・。」
 「何が、もういないのだ?!」
 不審に思い、肩を掴む手の力が知らずと強くなる。
 「・・・・・ご・・・め・・ん・・・・・ね・・・・・」
 何があっても守り通したかった。
 『もう一人自分』を・・・・・。
 「・・・・僕・・・が・・・・・。」
 (・・・・・・・・まさか!)
 「よもや、もう一人のお前が・・・!!!」
 語尾を強めながら、更に問う。
 「いなくなったと言うのか?!」
 声もなく、ただひたすら涙を流す遊戯。
 「・・・僕が、・・・・・・殺・・した・・・・」
 そう、この世から、永遠に消し去ったのだ・・・・。
 自らの手で・・・。
 遊戯は、自分の手のひらをそっと見た。
 (輪廻転生の輪から外れた君・・・・。)
 「・・僕が、君を・・・」
 瞳から、さらに涙が溢れ出して、手のひらへと零れ落ち・・・。
 (無に還してしまった・・・・・。)
 遊戯はその涙を、力無く、そっと握りしめた・・・。
 「・・・倒して・・・しまった・・・・・。」
 ただただうな垂れる、抜け殻のような遊戯に、居たたまれなくなる。
 海馬は、遊戯の肩から手を引き、学ランの襟に付けておいたKCのバッチのボタンを押し、何か二言ぐらい喋ると、遊戯に向かって話しかけた。
 「・・・遊戯、俺と一緒に来い!!」
 そういうと海馬は遊戯の手を掴み、司書室から出ていった。
 (お前には、オレの存在意義がかかっているのだ・・・)
 「・・・オレ達の戦いのロードを、潰してなるものか!!!」
 図書室を出ると、そのまま海馬は階段を降り、遊戯を連れて外へと歩き出した。



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2004.3/11.21:30.pm

「白い心 2
なんだかこのままでは長くなりそうです・・・・・。
このままでは、大作になってしまう〜〜!!!(T◇T)
ようは次ページ作ればリンクの手間とか無くて早いんでしょうが、何せ時間が無いので、こんな形でしか作れない私を赦してくださいm(__)mペコリ。
そのうちに勉強してなんとか(ってなんだ?)します・・・。
しかし、ここからもっと暗くなっていきます・・・(T_T)。
暗いのとか、精神的にちょっと落ち込みやすい方は止したほうが良いのかもしれないです・・・。
宜しければ、最後までお付き合い頂ければと思います。
・・・・・・とりあえずこれから先を書こうと思います。
この小説のご感想、ご意見、ご指摘等御座いましたら、BBSかメールの方までよろしくお願い致します。
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白い心 2