小林康生さん(越後門出和紙)
小林やすおさん:えちごかどいでわし
門出和紙について
門出和紙の起源あきらかではありませんが、大正時代には40戸程の農家が紙すきを副業としていたようです。現在は小林さんの門出和紙工房のみとなりました。
門出は、小国町と松代町にはさまれているためか、小国の小国紙と松代町の伊沢紙の両方を漉いていたようです。小国紙は紙床に重ねた湿紙を雪に埋めます(「かんぐれ」と言います)が、門出でも「かんぐれ」をします。一方、伊沢紙は小国紙よりやや大きく、かんぐれはしません。
現在門出では門出和紙工房のみが紙すきをしています。しかし、生産規模は比較的大きく、10槽程の漉き舟があります。 銘酒、久保田のラベルの多くはこの工房から生み出されています。 |
コウゾの説明をする小林康生さん
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小林さんの和紙に対する思い 小林さんは、和紙の作り手、売り手、使い手が一体でないと「本物」として成り立たないと考えています。本物の和紙を追求するために展覧会などで直接意見を聞いたりして様々な試みをしてみえます。「30世紀に残る紙」を基本姿勢にし、地元で産出されるコウゾを使い、昔ながらの漉き方を守りつつ自分のスタイルを研究してみえます。 |
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紙漉の様子
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化粧水: 紙の表面を形成する大切な工程です。手前から汲み込みそのまま先へ素早く流し出します。 |
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調子: 紙の性質や強さなどを決めます。小林さんの場合は、桁を激しく揺り動かし繊維が桁の中央でぶつかり合うようにしています。 |
調子2: 紙の厚さ(重さ)を整えます。桁を前後、左右にゆっくり大きく揺り動かします。 |
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水切り: 漉き終わると桁を立てて水を切ります。トロロがよく効いているので時間がかかります。 |
紙床(しと)に移します。 |
漉き始めから紙床に移すまで約100秒、ときに激しく、ときにゆっくり、ときに上下に簀桁を動かしたりと、抑揚の効いた漉き方をします。小林さんに操られる舟水の音は、まるで音楽を聴いているようです。 |
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越後門出和紙:薄くても丈夫でしなやかです。太陽と雪の反射光で乾燥されたため柔らかい白さです。 |
越後門出和紙:かんぐれされた和紙は、とてもしなやかでやさしい手触りです。 |