和紙って??
 和紙の特ちょう


作り方の特ちょうは「流しずき」
 和紙を作るときの特ちょうは「流しずき」です。
 流しずきとは、紙すきの時に道具(すけた)を前後(左右)にゆり動かすやりかたのことです。
 これは、原料と水の入った水槽(すきぶね)にトロロアオイやノリウツギなどの植物から取れる、とう明な液体(トロロ)を混ぜることによって生まれました。
 流しずきによる効果が和紙の紙質の特ちょうです
 外国の紙はトロロを入れないので、ゆり動かすことができません。ゆり動かさないすき方を「溜(た)めずき」とよびます。


流しずきを動画で見る
 紙漉
 この写真は土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし:高知県)の流しずきです。“すけた”を前後に動かすことにより、紙料液(舟水)が舞い上がっています。土佐典具帖紙は日本一はげしくゆすります。

流しずきによる効果
 すけたを動かすことにより原料の繊維どうしがよくからみ合い強い紙になります。
 ゆり動かすことにより繊維がきれいに並び、なめらかで美しい紙になります。
 
繊維がすけたの上で行き来しますので一枚の紙の厚さが同じになります。
 トロロのねばりけにより、水は簀からゆっくり落ちます。そのため、すきな厚さにすくことができます。 

トロロ(ネリ)の登場と流しずきの始まり 
トロロアオイの根から出る液トロロアオイの根から出る液
スゴイねばりがある
トロロアオイのねばりけを動画で見る
 流しずきは、日本で生まれたすき方で、トロロを混ぜることで完成されました。その始まりは、奈良時代頃(今から約1300年前)までさかのぼるといわれています。
 紙すきが日本に伝えられた頃は、アサやコウゾなどの植物が原料として使われていました。その頃は、植物から繊維を取り出す方法もかんたんで、植物繊維が持つねばり気がなくなりませんでした。ところが、“きれいな紙を作ろう”とすれば、繊維をきれいにするわけですから、繊維のねばり気が失われてしまい、強い紙ができなくなってしまいました。何とか強くてきれいな紙を作ろうと、色々な植物で紙すきがおこなわれ、ガンピという植物が発見されました。ガンピにはとても強いねばり気があり、コウゾなどに混ぜて使われるようになりました。その後、外国から薬として伝わった、トロロアオイという植物の根にとても強い粘り気があることが分かりました。そのねん液をコウゾに混ぜて漉いてみたところ、
とても強くてきれいな紙ができました。ここにトロロ(ネリ)が登場しました。
 トロロを使うことにより、日本の紙(和紙)は色々な種類が作られるようになりました。また、強さ、きれいさ、種類の多さなどで、世界一の紙になりました。
トロロとして使うことのできる植物
トロロアオイの花
トロロアオイの花
トロロアオイ
 ほぼ日本中で使われています。ガンピ紙ではねばりが強すぎるため、あまり使われません。根をたたきつぶして水につけておくとネバネバの液が取れます。
ノリウツギ
 主にガンピ紙をすくときに使います。ガンピ自体のねばり気が強いため、トロロアオイよりもねばり気の少ないノリウツギが使われます。樹木の外皮と木質部の間にある内皮を茶碗の欠片などでこそげ取って使います。トロロアオイの代わりとしても使われます。
その他
 スイセン・ビナンカズラ・ヒガンバナ・オクラ・イヌグス・アオギリなどが使われます。これらはトロロアオイなどが不足したときに用いられました。

拍手拍手拍手和紙はココがすごい(これらも和紙の優れた特徴です)拍手拍手拍手
環境にやさしい
 手すき洋紙はボロ布のリサイクル、手すき和紙は畑などで栽培されるコウゾなどを使うため、自然を壊しません
 また、薬品をほとんど使いません。
丈夫で長持ち
 和紙のほとんどは中性ですので、紙がボロボロになりにくいです。1000年以上前の紙が残っていることでもわかります。機械ずきの紙は、薬品を多く使いますから酸性です。100年ほどしか持ちません。
 機械ずき紙の原料の木材パルプには、光に当たると繊維を弱くするリグニンというものが多く含まれます。和紙原料の繊維にはほとんど含まれていません。新聞紙を半日ほど日に当てると黄土色になり、やがてボロボロになるのはリグニンのためです。和紙は光に当たると白く美しくなります。
人が作る
 特に伝統工芸品や文化財などは、「この紙でなければならない」という使われ方をしています。これは、すけたの動かし方や紙の厚さなど、その人でなければすくことができない紙だからです。機械にはまねができません。
空気を通す
 和紙は、長い植物繊維がからみ合い、くっつきあっているだけです。顕微鏡でのぞいてみると、たくさんのすき間があります。このすき間から空気が行き来しますので、日本家屋の障子では外の季節を感じることができます。
光を通す
 和紙のすき間は光も通します。その光は繊維によって曲げられ、とても柔らかい光になります。
のびちぢみする
 和紙の繊維はとても長いので、湿らせて紙をのばしてやることができます。石碑などの拓本をとる湿拓技法は和紙を伸ばすことで可能になります。
 また、障子紙を張りかえたあとに、きりふきで水をかけてやると、やがて和紙は乾いてパンパンに張ります。
折りたたみに強い
 和紙は長い繊維ですから、折りたたみをくり返してもなかなかやぶれません。日本のおさつが丈夫なのは、和紙原料の一つ「ミツマタ」が使われているからです。
自然の素材と
仲がよい
 和紙は自然の恵みでできています。自然のさまざまな素材と出会うことにより、水に強くなったり、火に強くなったり、破れにくくなったりします。
 和紙と仲の良い素材:ウルシ・カキシブ・コンニャク・土・米・きり油など
リサイクル
 和紙は植物繊維のみでできていますので、かんたんにリサイクルできます。洋紙もリサイクルできますが、さまざまな加工がされていてリサイクルできない紙もたくさんあります。
暖かみがある
 感情的な問題ですが、手すき和紙には暖かみがあります。これは、紙すきさん達の想いの表れでしょう。この暖かみが私たちの心を和やかにしてくれます。

ガイコツガイコツガイコツガイコツガイコツガイコツ和紙はここが短所??ガイコツガイコツガイコツガイコツガイコツガイコツ
やぶれちゃう
 和紙はやぶれちゃいます。でも、やぶれることでちぎり絵や造花などの工芸品も作ることができます。かんたんに小さくすることもできます。
燃える
 紙は植物からできていますからよく燃えます。燃えてしまうと元に戻りません。しかし、燃えることによってたき物に火をつけたりできます。燃やしてヒミツを守ることもできます。
水に弱い
 和紙は水にぬれるとやぶれやすくなります。しかし、水によって繊維がバラバラになることで、リサイクルができるんです。夏祭りなどで金魚すくいが楽しめるのも、和紙が水に弱いからです。
水分をすう
 和紙は水分をすいます。水分をすことでカキシブやウルシなどの液が繊維に入りこみ、「いっかんばり」や「型紙」などの工芸品を作ることができるのです。
空気などが通る
 和紙は空気などを通しますから、和紙で作ったふくろに水や空気をためることはできません。でも、空気や水分を通すことで、部屋の湿気をおさえたり、よごれた水分をきれいにしたりもできます。
折れてしまう
 和紙はかたくありませんから折れてしまいます。しかし、折れることでいろんな形になり、ものを作ることができるんです。また折りたたむことで小さくなり、持ち運びも楽になります。
切れてしまう
 はさみやナイフでかんたんに切れてしまいます。しかし、切れることで型紙などに加工されたりいろんな形に切りぬくことができます。

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