麻薬所持者(オーストラリア)
エアーズロックリゾート
世界の各地を「点」という形でもいいので見て周ること、これが私の旅における目的である。そろそろアジア以外の国を一回見てみたいという思いに駆られて今回はこのオーストラリアという国に白羽の矢を立てた。
少し前置きを書いてしまい、またタイトルも一見意味不明なのだがここでは入国について話を進めて行きたい。一般的な入国の手順としては、到着→イミグレーション→バゲージクレーム(必要なときのみ)→税関、という感じになり、ここを通過するまではどことなく嫌な雰囲気に包まれていることも多い。社会主義国は特にそうであるが審査官、またそこにたずさわっている人々がどうもそのような雰囲気作りに一役買っている。その国家へ入国するに当たってふさわしい人物かどうか、また重大な犯罪を持ち込ませないためにも厳重に警戒をする必要があることは確かだが一般人にとってはこれあ少々耐え難いこともある。しかしそのような雰囲気であっても手続き自体はあまり問題なく進んでいくことも多い。実際にこれまでに多く出入国を繰り返してきたがそんなに問題はおきてこなかった。せいぜい物乞いや賄賂の請求くらいで私自身が問題の対象となることはあまりお目にかかることはなかった。
今回の旅においても上記のような理由から出入国に関してそんなに大きくは考えていなかった。ケアンズに無事に到着をしてイミグレーションに足を運ぶ。朝の4時台についたこともあり目は充血し髪も寝癖がついて思考もぼんやりしている。パスポート出して並んでいるときも目の前に修学旅行と思われる高校生の集団を見て、「元気がいいなあ」とか考えているうちに自分の番になり難なく通過をした。今回は荷物が多かったためにバゲージクレームにてさっさと自分の荷物を取り上げてその高校生の集団の前に並ぼうとしたした時にある女性のスタッフから声を掛けられた。一見黒人女性だがおそらくはアボリジニーだと思われる。みすぼらしいザックとぼさぼさの頭、充血しきった目が彼女の視界に入り正義感と仕事使命感を燃やしたのかも知れない。
“Excuse me?”から始まり、独りなのか?、オーストラリアは初めてなのか?、どのくらい滞在するのか?、などと軽い質問の後にカウンターらしきところに連行されてた。そこでパスポートを見せたら急に険しい表情になりもう独りの税関が私のパスポートを持っていってしまった。その後も細かい尋問が続き荷物を開けて検査をしていく。その検査はかなり厳しく、フィルムキャップを一つ一つ開け、また着替えの入っている袋も開封されせっかくの荷造りが台無しである。かなり心細くなると同時に激しい怒りも覚えてきたのでこちらもいろいろ怒りながら聞いてみるとどうも彼女は私が麻薬所持者であることを疑っているらしい。全くもって失礼な話である。それを聞いてよっぽど文句を言おうと思ったくらいである。どこの国でも役人は横柄な態度である、というのが旅をする人(バックパッカー)の間では話題になるがここではそれを目の当たりにしてしまった初めての国であった。
しかし気楽このような仕事を行なっているように見える人も結構いるようのもまた事実である。某国へ入国しようとイミグレーションで並んでいたら私の前の女の子は質問攻めになっていた。見るからにうれしそうで鼻の下が伸びきっている雰囲気である。それを裏付けるかのようにいざ私の番になると無言のままあっけなく入国できた。まあ人間のサガを考えるとこんなものなのかも知れない。
ちなみに出国するときには腕に刺青をしたブッシュさんのような顔をした人がにこやかに、またかなり大雑把に対応してくれたのでかなり気は楽だった。入国もここまでおおらかだとその国の印象もがらっと変わること請け合いであると思われる。
撮影機材:@