和紙産地をたずねて(新潟県小国町)
にいがたけんおぐに町

 2001.06.08(金)〜10日(日)
 新潟県刈羽郡小国町・高柳町で開催された「全国手漉和紙青年の集い」に参加しました。集いについては全国手漉和紙青年の集いHPで紹介していますので、今回は和紙産地としての小国町を紹介します。
 午前6時に自宅を出発、瑞浪インターから中央道に乗り、長野道から上越道、北陸道柏崎インターを経由して小国町に入りました。途中長野市で寄り道をしましたが、お昼には小国町に到着しました。


 【和紙産地としての小国町】
 小国町での紙漉は江戸時代初期頃まで遡ることができます。天和2(1680)年、山野田地区では20戸程が農閑期の副業として紙漉をしていたようです。最盛期には40戸程あった紙漉も、現在は2戸になってしまいました。

 【小国和紙の特徴】
《かんぐれ》 積雪3メートルを超える豪雪地帯では、冬の日照時間がほとんどなく乾燥できないので、漉き上げた紙を紙床(しと)に重ねたまま雪に埋め春先まで保存します。重ねたままの固まりを「くれ」とうことから、これを「かんぐれ」といいます。くれは、雪の重さで圧搾され、腰の強い紙になります。3月中旬頃からくれを掘り出し、一枚ずつ干し板に貼り天日と雪の反射で乾燥します。

地図
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《紙すき》 小国和紙は、溜め漉きに近い漉き方です。漉いて直ぐに紙床に移すとうまくはがれません。そのため、紙床に移す前にある程度水を切っておく必要があります。
 小国版を漉くときは漉き簀を2〜3枚用意します。漉き上げたものを桁から外し、水切り用の板に乗せ水を切ります。その間次の紙を漉き、水切り板に乗せます。最初に漉いた紙を紙床に移します。紙床に移した後の簀を使い次の紙を漉きます。このように、簀をローテーションして使います。小国でも現在ではほとんど見られなくなりましたが、このようなローテーションは兵庫県の名塩和紙でも見られます。
 なお、小国の漉き方は昭和48年「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選定されました。
(有)小国和紙生産組合
片桐三郎さん
小国和紙生産組合の片桐三郎さん

 片桐さんの本職は大工です。冬、出稼ぎに行かなくても良い仕事はないかと考えました。そこで思いついたのが紙すき。家族の猛反対にあいましたが、そこは大工さん。みるみる紙漉場を建ててしまったそうです。

 

小国和紙生産組合
1階が作業場。2階はショップや事務室です。


(有)小国和紙生産組合
新潟県刈羽郡小国町小栗山145
電話:0258-95-3016

紙を漉く今井宏明さん
紙を漉く今井宏明さん
漉いているのは酒米の藁が入った
「越州」のラベル用紙
2枚の湿紙を重ねて一枚の和紙にします。

酒
この酒のラベルは新潟の手漉き和紙です。
美味しい酒ですから皆さん呑んでください。

除湿器 冷蔵庫
除湿器(左):コウゾを乾燥し保存するためのものです。
冷蔵庫(右):トロロアオイの保存に使います。
桶
コウゾを蒸すための桶

コウゾを寝かせて並べます。立てるよりも一度に多く蒸すことができます。

コウゾ畑
コウゾ畑:広大な畑は風通しの良い高台にあります。
かなり手入れが行き届いています。
虫
コウゾを食う虫
先の柔らかい芽を食われると枯れてしまいます。
小国和紙
小国和紙

地元で丹念に育てられたコウゾを使い、心を込めて漉き上げられた和紙。

紙の美術博物館
紙の美術博物館
紙の美術博物館の中
インテリアの大半が和紙です。
紙の美術博物館
紙の美術博物館

 入館料:中学生以上 200円
     小学生   100円
 休館日:水曜日(夏休みは開館)、年末年始
 開 館:10:00〜16:30


 電 話:0258-95-3161
山口邸園

 園内にある郷土資料館(小国和紙館)には、小国和紙に関する民俗資料などが展示されています。土佐の吉井源太翁から送られた道具類など、貴重な資料があります。

所在地:〒949-5222 新潟県刈羽郡小国町大字横沢802 電話:0258-95-2002

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