| 『少したのしい』はこうやって作られた! スタッフ座談会シリーズ 番外編 「番外編〜映画と演劇を超えて〜」 脚本・演出家:石黒秀和×M.I.F.:清水雅人 ※石黒秀和 主な舞台作品
清水:さて、今回の座談会は番外編です。『少したのしい』のスタッフではなく、豊田演劇界にはなくてはならない人、脚本家であり演出家でもある石黒さんをお招きして、『少したのしい』の試写版を観てもらったので、そこを入口に、豊田の演劇とか映画とかの今後みたいな話を出来ればと思います。よろしくお願いします。
石黒:よろしくお願いします。
石黒秀和とは?
清水:まずは、石黒さんがどういう人なのかということを聞きたいと思うんですが、石黒さんってこういうインタビューとか対談って最近はされてますか?メディア露出というか。
石黒:そうですね、実は今度名古屋大須の七ツ寺スタジオで芝居をやるんですよ。あそこがディレクターズ・トレーニング・ラボっていう企画をやってて、若手演出家の公募をかけて、キャストも公募して、スタジオを稽古場として開放して、演出家2人が20分ずつなんですけど芝居を作って、そのまま上演するという企画で今回が2回目なんですけど。今、なかなか名古屋にも若手の演出家がいないみたいで応募もあんまりなくて、それならやらせてもらおうかと、若手じゃないけど(笑)。年明けから稽古に入って、1月12日に上演なんです。
清水:そうなんですか、面白そうですね。
石黒:その関係の取材とか、あとは演劇サイトとかの取材を受けたりですね。まあ、豊田にいるんで、電話とかメールで回答するってのが多いんですが。
清水:僕は、映画を作り始めた頃から石黒さんに会いたくてね。映画作り始めたのは2000年ですが、その頃、市民創作劇場の最後の方で、終わりの3年くらいを観に行ってて、作演出やってるのも豊田の人らしい、それなら是非会って話がしたいなぁと思ってて。堀さんが市民創作劇場に参加してたんで「会わせてくださいよ」って言っても、「うーん、石黒君会うかなぁ」なんて言って会わせてくれなかったんですよ。「富良野塾行ってた人なら映像に興味があるでしょうから、シナリオ見てもらいましょうよ」って言っても「石黒君はやんないと思うなぁ、プロだから」なんて言って。
石黒:僕はいつもでOKだったのに。基本的にウェルカムだから。
清水:それで、2年前ですか、やっと財団法人あすての補助金の関係でお会いできて、今年の4月から始まったとよた演劇アカデミーの実行委員にどうかと誘ってもらって、やっと会えたという。
石黒:長かったねぇ。
清水:同い年なんですよね。出身はどこでしたっけ?
石黒:豊栄町です。寿恵野小学校で上郷中学校ですね。
清水:高校は豊田南高校でしたっけ?まだ出来たてですよね。
石黒:6回生ですね。
清水:新設校だから勉強ガンガンにやらされたでしょう。
石黒:うん、管理教育でね。
清水:僕は西高でしたから、その頃の西校はもうゆるゆるでしたよ(笑)。勉強なんて全然しなかった。
石黒:本当は高校行きたくなくてね、専門学校に行きたかったんですよ。
清水:何のですか?
石黒:映画の専門学校に行きたかった。元々職人への憧れがあってね、板前とか大工とかね。それで高校行くより技術を早く身につけたいってのはありましたね。
清水:じゃあ、その頃からライター志望ですか?
石黒:そうでもなくて、そういう世界に入りたいという。と言って映画をそれほど観てるわけではなかったですけど。
清水:テレビっ子ですか?
石黒:そうですねぇ、一緒ぐらいのレベルじゃないかなぁ、世代的に言っても。
清水:そうですね、僕もテレビっ子でしたよ。
石黒:アニメはよく見てたかなぁ、その頃から宮崎駿は好きでしたね。『風の谷のナウシカ』が小学校6年生で、はまりましたよね。
清水:そうか、みんな熱狂してたなぁ。ガンダム世代ですよね。プラモデル作ってね。
石黒:そうそう。作ったなぁ。
清水:それでもまあ南高に入って。
石黒:それで、2年生くらいになると進路の話になるでしょ、その時に『北の国から―初恋―』を観ちゃってね。純が上京するとか、恋人を残してとか、もうストレートにズンってきちゃいますよね。それで、倉本聰のシナリオ集を読み漁って、そうしたら、もやもやと自分が思ってることをこの人は全部わかってる!って思ってね(笑)。
清水:まさにはまっちゃったと。
石黒:そう。そしたら、倉本聰が富良野塾をやってるってことを知って、もう行くしかないと。それで、入塾の試験を受けたんです。それがちょうど共通一次試験と同じ日でね。共通一次試験に行かずに富良野塾の試験に行っちゃった。後でえらい怒られたけどね(笑)。
清水:そりゃ怒られますねぇ。
石黒:でも、それで入れりゃかっこよかったんだけど、落ちたんです。
清水:そうなんですか。
石黒:それで、よくよく考えてみたらシナリオ1本も書いたこともないのに受かるわけないな、とやっと気づいて(笑)、それで1年東京のシナリオ教室に通って、それで次の年は富良野塾受かったんです。
清水:富良野塾は何年ですか?
石黒:2年です。それで、2年終わって、富良野塾がカナダ公演をやるっていうんで、先に行って社会勉強してろって言われてワーキングホリデーで1年カナダに留学して、公演も一緒に回って日本に帰ってきて、それから全国公演も照明のオペレーターとして回ったりしてて。それで、富良野に帰る前に2ヶ月くらい豊田にいたんです、その時に市民創作劇場にかかわった。
市民創作劇場〜野外劇
清水:それはどういういきさつで?
石黒:かかわったのは市民創作劇場の2回目だったんですが、1回目はたまたま観に行ってたんですね、妹と。へえ、地元でこういうのやってるんだ、くらいだったんですけど。そこで多分妹がアンケートに何か書いたんだと思うけど、文化協会からちょっと書いてくれないかと言われて、じゃあ、富良野に行くまでちょっとあるから書きますよって感じでした。それで富良野に行っちゃったから本番は観てないんですよね。で、またこっちに帰ってきたら、評判がよかったってことでアンコール公演をやりたいと。ついては今度は演出もしてくれということでやったんですね。それで、ちょっと面白いかなと思った。
清水:でも、ずうーっとやるつもりはなかったんでしょ?
石黒:そうですね、東京に行ってシナリオライターになるつもりでしたから。でも、その頃東京の仕事で嫌なことがあったりしてね、業界って汚いなぁという。
清水:なるほど、タイミングですねぇ。
石黒:うん、それで市民創作劇場の3回目も是非と言われてね、まあ、富良野塾も地に足をつけて芝居をやってたし、自分も地元で30歳までやってみようかと。それから東京に行ってもいいだろうと。
清水:市民創作劇場は、全部かかわってますか?
石黒:そうですね、市民創作劇場は10回ありましたけど、2回目以降は全てかかわってます。9本の内、2本はホンのみであとは作演出ですね。だから、ホンは2回目以降全部書いてますね。
清水:それで、市民創作劇が終わった時はもう地元でやっていこうと思ったわけですか?
石黒:いやいや、まだ迷ってましたね。やっぱり、自分は映像のシナリオライターだという気持ちがあったから、芝居の演出やっててもね、達成感とか満足感というのはなかったんですよ。だから、そこから野外劇になるわけですが、最初は反対だったんです。メンバーに入ってたけど、会合もあんまり行かなくて自然に抜けちゃいたいなと思ってたくらいで。で、野外劇の1回目が終わって、人材育成をしなくちゃいけないだろうと、そのための野外劇にしなくちゃいかんだろうって言って、最初は主催者側もその通りだって言ってくれてたんだけど、上が異動したりしてなんやかやあって、結局野外劇の2回目もやっただけで何も残らなかった。それなら、言ったからには自分で人材育成するかと、芝居をやっていくかと思って、やっと名古屋の劇団を観に行ったり、演出のワークショップを受けたりして。それで、とよた演劇アカデミーという発想になった。だから、それから日本劇作家協会の会員になったんですよ。それまで劇作家のつもりがなかったから。
清水:じゃあ、結構最近ですね。
とよた演劇アカデミー
石黒:だから地元で芝居をやっていこうと決めたのはここ3〜4年のことですね。本当は市民劇場の後に市民映画をやりたかったんです。映像がやりたかったわけだから。でも、もうその頃には清水さんたちは映画を作り始めてたのかな。
清水:そうですね、始めた頃だと思います。
石黒:だから、先を越されたって最初は思って、すごい意識してたんですよ。ただ、堀さんを通して見てたわけですが、まあお遊びかな、そのうちになくなっちゃうかなとは思ってました。
清水:確かにお遊びでした(笑)。
石黒:市民映画はやるならもっとパブリックな、公共や市民を巻き込んでやりたかったので、方向性も違うかなと思ってたんです。そしたら、映画祭はどんどん盛り上がって大きくなってくし、作品のクオリティも上がってくるし、おいおい、これはちょっと無視できんぞとなった。だから、今はもう僕の中では市民映画、市民映画祭の構想は一旦なくなってるんです。
清水:そうですか、そんなふうに思ってもらってたんですね。
石黒:それなら、近くにいるわけだから、何か協力関係が出来ればいいなと思ってて、まずは役者の共有とか、スタッフも共有できるだろうと思ってたんです。ただ、なかなか声を掛けるタイミングがなかったんですが、とよた演劇アカデミーを始めるにあたって、実行委員にどうだと声を掛けさせてもらった。
清水:とよた演劇アカデミー実行委員の話をもらった時に、趣旨を聞いたじゃないですか、とにかくスタッフを育てたい、特にプロデューサーを育てたいと。ちょうど我々も、いかに人材を育てていくかということを試行錯誤してましたから、今でもしてますけど、コンセプトにものすごく賛同できたので参加しようと。これが、ただやってくれだったら受けなかったと思います。忙しいですしね。もうちょっと外側の協力はあっても実行委員にはなってないと思います。
石黒:なるほど。会うには一番いいタイミングだったかもしれんね。
清水:だから、演劇アカデミーの実行委員会会議でも、外から来てる人間だという意識で、なるべく外から見た意見というのを発言しようとは思ってます。僕以外は、その前から一緒にやってる人たちが多いみたいだし。
石黒:そうですね、岡田=石黒体制という暗黙のラインがあってね、岡田さんは基本的には僕の好きなようにやらせてくれるんですが。だから、まさに客観的な目で意見を言って欲しいと思って誘いましたし、その通り色々意見をくれてると実感してますよ。確かに若い頃は、市民創作劇の頃は独裁ですよ、他の意見なんか全然聞きませんでしたし。でもこの歳になると聞けるようになってきたというか、いい意見は取り入れてやっていった方がいいものが作れるということがわかってきた。
清水:そうですねぇ、僕も8年やってきてどこが成長したのかわかりませんが、唯一言えるのは意見が聞けるようになったことですね。最初の頃は、感想聞いても嫌なこと言われると腹が立ってね、「そんなこと言ってもこれはですね・・・」と言い返したりしてね。それならそもそも感想聞くなって話なんですけど(笑)。石黒さん、今回のホンに対する意見を言ってくる受講生っていますか?
石黒:なるべく聞くように心がけてるんだけどね。
清水:やっぱり、先生と生徒になっちゃいますよね、アカデミーだからしょうがないんだけど。一部から「先生!」って呼ばれ始めてますよね(笑)。
石黒:そうなんだよ〜、先生ってだけは呼ばれたくないと思ってるんだけど(笑)。やっぱり役者が演出家に口ごたえするくらいでないといい芝居は作れないと思うからね。作り上げるということにはならない。だから、言える環境に常にしておきたいとは思ってます。生徒の側からするとなかなか言えないのかなとは思うけど。
清水:なんでそんなことを聞いたかというと、作品に対する感想というか評価というのも言っていかないといけないと思ってるんです。こうやって地域密着で市民参加でという形でやってるとどうしても、「できたできた、よかったよかった、すごいすごい」で終わっちゃって、作品としての出来の話までいかないことが多い。内部の反省としては話しても、外からの意見を聞く、それをさらに公表して議論していくまでなかなか出来ない。1つの作品としての評価は必要だと思うんです、名古屋や東京の芝居と同じように、劇場公開映画と同じように。一般のお客さんというのは、同じ目線で見てますからね。
石黒:今回のアカデミー修了公演のホンはどう思います?
清水:そうですね、稽古を見ながら大変そうだなぁと思ってて、芝居を作るというより教える方がメインですからね、だからホンについてもなかなか全力投球出来ないよなぁ、というのがまずはの感想かなぁ。でも、市民創作劇場からずっとそうなんですよね。
石黒:そうだねぇ。
清水:だから、ちょっともったいないというか、全力投球を見てみたという気持ちはありますね。
『少したのしい』
清水:それで、今回もね、『少したのしい』を観てもらって、ご意見を聞こうというところに繋がるんですが。聞くの怖いんですけどね。えーと、どうでした?
石黒:本当に楽しく観させてもらいましたよ。それに画がきれいですよね。『箱』の時もそう思いましたが。
清水:それは、撮影監督の岩松さんの功績ですね。
石黒:まだお会いしたことないんですが、その才能も含めてどんな人かものすごく興味がありますね。
清水:また会わせますよ。僕も岩松さんと一緒にやってものすごく刺激になってますから。
石黒:映画というのは、ストーリー、役者、そしてカメラワーク・画づくりの3つのどれが欠けてもダメだと思うんですが、僕はライターなんでどうしてもストーリーに目がいっちゃうんだけど、3つとも自主映画とは思えない基準はクリアしてるなと思います。それから今回ロードムービーでしょ、それは挑戦したなぁと。ロードムービーだと例え30分の短編でもつらいものはつらいと思いますから。ストーリー上に起伏をつけにくいし、どうしても淡々としちゃうだろうから。
清水:豊田を舞台の映画を作ろうというコンセプトはずうーっとあって、映画祭やDVDを買って観てくれるのはまずは地元の人なので、自分の知っている所が映ってるとそれで20点くらい上乗せしてもらえるかと。だからロードムービーというのは1つの答えではあります。
石黒:そうですね、豊田の人はもう100%楽しめるでしょうね。ただ、市外の人が観た時に、ロードムービーとして移動していってるというのがわからないかもしれないなとは思いました。
清水:なるほど。あの、ラストはわかりました?
石黒:わかりましたよ。
清水:よかった、あれがスタッフの試写ですこぶる評判が悪くてねぇ、わからないと。
石黒:そうなの?僕は好きだけどな。
清水:絶対入れたいんですけどね。メッセージというか、よかったよかったで終わりにしたくないという姿勢でもあるのでね。
石黒:今回の作品は自分では何点ですか?
清水:そうですねぇ、70点くらいかなぁ。
石黒:『箱』は?
清水:『箱』は、あの時点ではやれることはやったという気持ちはあるのでもうちょっと高いかな。ただ、プロの映画監督とか他の映画祭で入選して呼ばれた時に審査員から「きれい過ぎる、人間が描けてない」と言われまして、そこは痛いとこだったんですね。『箱』は、やっぱりベッドシーンなりそういうシーンは必要だったなと。あの話は要は夫よりも若い男の方がエッチがよかった、どうしよう、って話ですから(笑)。でもキャスト的に無理なので、上手く撮る自信もなかったというのもありますが、なら一切そういうのはやめてしまおうという選択だったんです。だから、人間の汚い部分というか影の面を描きたいという欲求はすごくあって、今回も、そういう部分をどう入れるかというのは悩みました。
石黒:さっきの全力投球の話を返しちゃうんだけど、清水さんもね、育ててるなぁと思うんでね。全力投球してないんじゃないかと。
清水:今回は企画と脚本は初挑戦の子だったし、スタッフも若手中心でしたのでね。僕自身としては、こういう自主製作としては大きなパジェットはこれで一区切りかなと思ってます。M.I.F.製作では大きくやっていくにしても監督作では。やるなら小規模でじっくり追求したいなという気持ちがありますね。リハーサルも半年くらいかけてね。
石黒:そういえば、出てくる役者さんは、豊田市内市外だとどういう割合なの?
清水:えーと、主演2人はプロダクションの子で市外、あとはオーディションに来てくれた人がほとんどですが、市外から来てくれた人も結構いて、そうですね、メインキャストでいうと市内市外はちょうど半々でしょうか。エキストラの人も含めれば当然市内の人の割合が多くなりますが。
石黒:市内市外どっちの人を使ってもいいんだけど、理想としては「どっち使ってもよかったんだけど」くらいに市内の役者のレベルが上がってくるといいなと思うんですよね。清水さんの映画観てると、知ってる役者、僕の芝居に出てくれた人なんかが出てくるでしょ、そうすると暗澹たる気持ちになるんですよ(笑)。観てて恥ずかしいというか、できてないなぁと。別に僕が育てたとは思わないけど、でもなんか観てて恥ずかしくなるんですよね。身内には厳しくなっちゃうということはあるとは思いますが。
清水:『箱』に出てくれた山田幸治さん※はがんばってくれましたけどね。
※山田幸治:豊田の劇団「スペース21」所属。20代の頃より舞台活動を始め、出演舞台多数。演技派として知られ、客演も多数こなしている。清水監督作『箱』に出演。映像作への出演ははじめてだった。
石黒:いや、僕は全然満足してないんです。山田さんならもっとやれるはずだと思うから。
舞台と映画 演技の違い
石黒:この前柴田槇子さん※に「映像はどうでした?」って聞いたんです。そしたら「映像は演技しちゃいけないって気づいた」って言ってたんです、あの柴田さんか。僕はなんかこの言葉がすごく納得できたんですよね。今、演劇アカデミーでも映像の芝居って言ってるんですが、例えばこうやって向かい合って話している距離感の声とか表情ってあって、これを舞台でやる時には、この距離感で話している感じで20m30m遠くまで声を飛ばさないといけない。映像だとそのままでいいんですが。だから、舞台と映像の演技は違うんだけど、でも、そのベースの部分、こうやって向かい合っている時にどれくらいの声で話すかとか、目線はどうするかとか、普段の自分はどうしてるかということをシュミレーションして再現していくということは一緒だと思うんです。その上で、舞台でもわかるように声や動きを足していくということだと。それが、いきなり舞台上を想定してやるといかにも演技になっちゃう。
※柴田槇子:豊田の演劇界をひっぱってきた重鎮。現劇団ドラマスタジオ代表。清水監督作『箱』に出演。映像作への出演ははじめてだった。
清水:映像に関して言えば、80%くらいは、佇まいとか顔、雰囲気、声でもう決まっちゃってる。こっちはそういう風に選んでるわけだし、衣装も決めてるし、セリフも変えたりしてる。だから変に演技しようなんて思わなくてもいいですよ、そのままで十分役にはまってますからって言うんですけどね。
石黒:ベースが出来れば、舞台と映像の切り替えがスッとできるようになるんじゃないかと思うんだけどね。
これから
石黒:これからどういう風になっていこうかという目標はありますか?
清水:そうですね、M.I.F.としては、対外と対内で分けると、対外は色々な企業や団体、映画祭とか学校とかと協力関係が広がってきてますので、それは進めていきたい。撮影監督の岩松さんの次回監督作が、インディーズムービーフェスティバル関連の援助作品になりそうで、今ちょうど僕がシナリオを書いてるんですが、劇場公開を前提にして動いてますし、『少したのしい』もどんどんコンペに出品したいですし。対内については、やっぱり映画祭のお客さん、僕たちの映画を観てくれる人をもっと増やしたいですよね。そのためには一般知名度をもっと上げていく必要がある。まずは作品を観てもらわなくてはいけないし、さっき言ったみたいに作品評価をちゃんとして公開・議論していくというのは、そういう一般のお客さんを育てるというか掘り起こすためだと思うんです。目を肥やしていってもらうと言うか。
石黒:M.I.F.っていう団体名ももちろん知名度を上げていってもらいたいですが、清水監督作が公開するって言うと固定客として千とか二千のお客さんが動くみたいな、個としてのね、清水ブランドを作っていって欲しいと思うんです。今のクオリティがあればそれは可能だと思うんですよね。そういう監督ブランドがM.I.F.内に何人かいるとなっていけばもっといいですしね。地方都市レベルでそんな形で盛り上がってる所はどこもないと思うし、そうしたら外も放っとかないから、自然と外に出て行くことになるだろうと思う。だから、清水さんが作りたいものをね、とことん追求して作って欲しいと思うんです。
清水:石黒さん、最近自分の劇団を作りたいって言ってるでしょ。それに、演劇アカデミーのビジョンは、卒業生が自分たちで劇団を作っていって欲しいというものですよね。そうやっていくつか劇団が立ち上がれば、当然比較されるし、自然と評価されるし、その1つとして石黒さんの劇団もあってね、「この前の石黒劇団の芝居はイマイチだったなぁ」なんて言われたりして(笑)、そういう風に盛り上がっていったらいいなと。だから、石黒さんも早く演劇アカデミーの指導者自体を育成して任せてね、自分の劇団を作って全力投球して欲しいと。結局は、人材育成ってことに行き着くんですけど。
石黒:そうですね。
清水:ただ、なんでこんな人材育成人材育成って言うかというと、別に地域文化振興とかそういうのはパブリシティ向けの言葉でね。
石黒:行政へのプレゼン用だね。
清水:やっぱりやってて楽しいということが基本だということは押さえておきたい。楽しいことは続けたいし、新しいことにも挑戦したいし、そうやって進んでいくのって楽しいんですよね。
石黒:それこそが充実するってことでしょうね。
清水:そうですそうです、それで、充実感というのは、より多くの人と共感すると倍増していくんですよね。だから、自分で考えて責任を持って何かをやりとげた方が絶対充実感というのは大きいですからね。それでこの楽しさを共感しようよ、育っちゃおうよって思ってるんですけどね。同じように観る人も掘り起こしていきたい。やっぱり地元でこういうことが盛り上がっていると、それでそれがなかなか面白いじゃないかとなると観る人も共感できると思うし。石黒さん、小さな小屋構想もありますよね、あれすごくいいと思うんです。
石黒:どこでもいいからちょっと間借りでいいから、キャパ50人くらいの小さなハコが常設であれば、芝居をやってもいいし、M.I.F.が上映やってもいいし。それで口コミで評判が広がっていけば、ロングランなり再演をしつつね。
清水:そういう評判がダイレクトに公演日数に繋がるという健全な形ですよね。演劇と映像とそれから音楽ですね。この3つでまわしていければいいですよね。どんどんコラボレートしてもいいし。
石黒:もはや、演劇と映像の垣根はどんどんなくなってますから。
清水:芝居に映像を取り入れる劇団が増えましたよね。ネット環境の進化で映像をネットで配信するのが当たり前になってきたというのもある。演劇アカデミーの修了公演でも映像を取り入れてやるということで、その部分の製作、指導は任せてもらってますし。
石黒:映像班はどうですか?今回、受講生から映像製作の希望を取って映像班としてやってもらってますが。
清水:もう全部受講生に任せてやってみてるんですよ。段取りから機材調達から。「ちょっとそれはどうかな・・・」と思っても「とりあえずやってみたら」と言ってしまってます。みんなどんどん失敗してもらおうと。大変そうですけどね。M.I.F.での経験を生かして、人材育成の方法を試させてもらってるという感じですね。まだまだ試行錯誤してますが。
石黒:映像班は、大変そうなんだけど、なぜかみんな楽しそうなんだよね。
清水:実は前から舞台演出への憧れもあるんですよね。
石黒:やったらいいよ、やれますよ。
清水:ちょっとまだ怖いという感じがあってね。石黒さんも本来やりたかった映像製作どうですか。
石黒:じゃあ、今度入れ替わってやってみますか。
清水:いいですねぇ、こういうことがあちらこちらでたくさん起こってる状況になれば、本当に面白いと思いますね。 |