──『あの日』から涙を流さなくなった。
忍耐強くなったとか、そんなんじゃなくって…。
アレ以上の…
「闘いの儀」以上の、辛い事が無いから…。
あの日から、ボクの心の中が、少だけおかしくなってきた…みたいで…。
自分の心が…良く解から無くなってきたんだ。
自分でも、本当にどうして良いか解らない位に…。
それだけ、ボクはキミに頼ってたって事なんだよ…ね?
キミがいなくなって
こんなにも時は経つのに
ボクの心の中では、こんなにもキミの事を…
…ずっと…追い駆けてるんだ。
──解かってる。
キミと一緒に過ごした時は夢じゃ無い事ぐらい…。
解かってる…
いい加減に前を向かないといけない事も…。
でも…
ソレでも……。
キミを、追い駆けていたい僕が…いるんだ…。
──キミの背中を…
ずっと一緒にいるって思ってた、キミを…
こんな事が無ければ…
きっとボクは、キミという存在を、こんなにも求めていたなんて…知りもしなかったんだね。
少し寂しくなると、キミと良く行った所へ行くんだ。
そこへ行くと、君の声が聞こえるんだよ。
「相棒ならできる筈だゼ?」
「…しょうがないな、相棒は。」
「あぁ、オレも相棒と一緒で構わないゼ?」
「……どうしたんだ?相棒…?」
苦笑しながら微笑んで、ボクをそっと見つめてくれていたね…。
──知ってたんだ。
キミがボクの事を、ずっと見てくれていたのを…
そのキミの視線を知っていて、ボクは知らない振りをしていたんだよ?
キミに………知られたく無くて……。
ボクが、キミの事を…
──「好き」だなんて事を、知られたく無くて……。
ボクは、知っていたのかもしれないね。
キミと出会った時から
キミと離れてしまう事を、無意識のうちに感じとっていたのかな…?
だから、ずっと強いフリをしてきたんだ。
キミの…優しい視線に、負けてしまわない様に…。
キミの視線を見てしまったら…
ボクはきっと振りかえって、キミに……
──ずっと甘えてしまいたくなってしまうから………
そうして、キミの温もりが無くなった時…
ボクの心が壊れてしまうと思ったから…。
だから知らないふりをして、キミの視線を自分で閉ざしてたんだ…。
ボクね、今、公園に来てるんだ…。
ボクの眼には、いま、沈んでいこうとしてる夕陽が見えているよ…
キミが好きだって言ってたこの場所から、一人で夕陽を見てるんだ。
キミと見ていた、あんなにも奇麗な夕陽が、今のボクの目には、
まるで、キミと闘ったあの日みたいに見えるんだ…。
今のボクは、
きっと、君が一緒にいた時よりも、もっとダメになってる…。
あのころよりも、ずっと…キミがいないだけで、こんなにも気持ちが違うなんて、知らなかった。
「寂しい」とか「哀しい」とかじゃないんだ。
キミと永遠に離れるという事が
こんなにも辛いなんて…思わなかったんだ…。
キミと言う存在がいないだけで、こんなにも目に移る全ての風景までもが変わってしまうんだね…
始めて知ったよ。
キミがいなくなってから…。
「キミがいない…」
沈んでゆく夕陽を見ながら、ふいに口にしてみた自分の言葉が…。
心を、少しずつ…溶かしてゆくんだ…。
言葉と共に、現実味を帯びてくる。
「ボクは、キミと……ずっと……」
少しずつ…
目の前の景色が、涙で滲んで見えなくなってゆく…
キミを、思い出すたびに、涙で前が見えなくなるんだ。
ボク、こんなにも涙脆くなかったのに…。
「キミの…せい…だ…」
ボクの近くに、ずっといてくれたから…
こんなにも、泣き虫になっちゃったじゃないか…。
酷いよ…
ボクの…
「きっと、ボクの心を…キミが……持っていったんだ…」
キミと出会ってから、ボクの心はこんなにも変わってしまった。
キミがいなくちゃ、何もできなくなってしまった。
キミを無くして解かった、始めての気持ち…。
だから、ボクの心が動かないんだ…。
ほっぺたに冷たいのが流れても、なんとも思えないんだ。
風が冷たくても、雨が降ってても…
キミがいなくちゃ…。
涙の冷たさも感じないんだ…。
「ねぇ、どうして……」
どうしてボクを一人にしたの…?
滲む夕陽を見つめながら、キミに問いかける。
…答えは返って来ない
「どうして?」
ねぇ、教えて、もう一人のボク………
どうしてボクの心は何も感じ無くなってしまったの?
どうしてボクの心は凍ったままなの?
どうしてボクの涙は乾かないの?
どうして…?
どうしてキミがいないの…?
2005.3/05.22:00.pm
頑張った子にご褒美で書いた物だったりする…。
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001,涙