アニバーサリー
アリスは原稿の手を休めてフトカレンダーに目をやった。 「・・・!もう、6月やないか!?」 今日が6月8日であることに気が付くとアリスは応募〆切に追われて 大切な日を忘れてしまっていたことに唖然とした。 「やばい・・・。連絡してへんし連絡も来いひんかった。」 アリスは部屋に置いてある子機に手を伸ばそうとして止める。 「どうしよう。」 暫く考えるとアリスは部屋を出て階段を下りて台所に向かった。 そこにはお茶を飲みながら新聞を読んでいる母親が寛いでいた。 「オカン。」 可愛い息子に呼ばれて母親は声のするほうに顔を上げてアリスを見る。 「なんやの?有栖。真剣な顔して。」 「どないしよ、俺。大切なことを忘れてしもたみたいや。」 しょんぼりと項垂れている我が子に母親は珍しいものを見るように 目を大きくして、そして笑い出した。 「なんて顔してんの。そんなん簡単や。」 「なにいうてん。簡単な訳ないやろ!」 悩んでる自分を見て大笑いしている母親にアリスは思わず頬を膨らまして 文句を言う。 20歳を過ぎてもいつまでも可愛らしい仕草のアリスの頬を指先で突付いて 答えを言ってやる。 「謝ればいいんよ。心を込めてね。」 「・・・そう・・・なん・・・や。」 ニコニコして言う母親にアリスも納得するしかない感じだった。 「そうそう、分かったらサッサと行っておいで。」 「うん。」 母親に堰かされてアリスは部屋に着替えに向かった。 「ほな、行ってくるわ。」 アリスは玄関で母親に声を掛けて出かけようとドアに手をかけた。 すると台所からパタパタとスリッパの音を立てて母親が玄関まで出てきた。 手には四角い箱を持っている。 「アリス、・・・ああその服なら可愛いから大丈夫やわ。う〜んホンマに 淡い色の服がアリスはよう似合うわぁ。」 自分が選んで買って来たシャツとパンツに母親は満足そうにしている。 「じゃあ・・・。」 「待ってや、これ持って行き。」 言って行こうとするアリスを再び引き止めて四角い箱を手渡す。 どうやら中身は手作りのケーキらしかった。 (ああ、オカンのケーキ。アイツ好きやからちょうどいいわ。) 心の中で思ってアリスは母親に礼を言ってドアを開けて出て行く。 そのアリスの背中に母親の優しい言葉がかかる。 「アリス〜。火村君によろしくね〜〜。」 その場で思わず倒れそうになったアリスだった。 北白川・・・。 「火村。」 「アリス?」 突然のアリスの訪問に驚いた火村だったが訳を聞き納得した。 「ごめんな。折角の1周年やったのに。」 「いや。覚えててくれて嬉しいよ。」 2人は1ヶ月と1日遅れの恋人1周年をアリスのオカンの手作りケーキで お祝いしたのだった。 出逢って2年、想いが通じ合って1年の記念日が5月7日なのである。 「来年もその次も2人でいられるといいな。」 アリスは火村ににっこりと笑って囁いた。 ハッピー・アニバーサリー!! 2001.05.28.aki 祝!1周年!「月間エブリン」!様 1周年おめでとうございます。evrinさん。 こんなおめでたい席に呼んで頂いてとても 感激しています。嬉しいです〜〜。 SSこんな感じになりましたがどうでしょうか? お気に召さなければごみ箱へポイッしてください。 と、とりあえず、まだ学生の2人です。(汗) 初めて書きました。(笑)楽しかったです。 ではでは、本当に1周年おめでとうございます!! akiでした。 |