ある日の2人
(火村&アリス)
    「なぁなぁ、火村。この間な。散髪屋にいったんや。」
    アリスは切ったばかりの自分の髪の毛を触りながら
    話し始めた。
    火村はこれといって興味が無いようでじゃが芋の皮を
    剥いている。アリスの方も火村が話を聞いて無いみたい
    でも気にする訳でもなく話を続ける。
    「でな、散髪した後に髭をあたってもらうやんか?」
    「ふ・・・ん・・・。」
    火村は適当に返事を返している。今は人参を乱切りに
    して面取りをし始めている。
    「ほんでな、そこのオッちゃんがまた丁寧な仕事をする
    人なんや。」
    「・・・・・・・・。」
    今度は返事もしないで玉葱を大きめに切り、かしわの
    モモ肉をこれも大きめの一口だいに切り揃える。
    コンロにかけてある小さめの鍋には小麦粉と牛乳を
    火にかけて合わせたホワイトソースの種が作られている。
    「顔をあたってもらっとると首筋の辺までやってくれ
    るんやけど、右側はなんともないんやけどな。」
    「左側はゾワゾワする・・・と言いたいのかな?」
    全然聞いてないと思ってた火村が突然口をはさむ。
    しかし手は動きを止めていない。かしわの肉を別に
    用意した大きな鍋にバターと共に入れ炒めてる。
    次にじゃが芋、人参、玉葱と入れ炒め始める。
    「そうなんや!どうしてわかったん!?」
    アリスはちょっとだけ驚いたのか火村に聞く。
    「おまえが知らなかったとはね。」
    玉葱が透き通ってきたので水を鍋に入れ、沸騰してき
    たら固形スープの素を細かく解し、ローリエの葉を
    加えて具が軟らかくなるまでしばし待つ。
    ここまできて初めて火村はアリスのほうをキチンと
    向いて話した。
    「本当にわからないのか?」
    口元にはいつものニヤリとした笑いが張り付いている。
    そしてアリスに近づき腕を伸ばして左側の首筋に触る。
    アリスはビクッとして首を竦めた。
    「なにするんや。くすぐったいやん。」
    言って火村の手から逃れる。が、またすぐ火村の手は
    アリスの首筋に戻り軽く上下にさすってやる。
    「やめてぇ・・・。火村。」
    「これが答えだよ。アリス。」
    火村は言うとまたキッチンに戻っていく。そして鍋の
    中を確認するとおたまでスープをすくいホワイトソース
    に入れ軽くのばしてそれを鍋に流し入れる。
    簡単にかき混ぜしばらく煮込む。
    「答えって・・・?」
    アリスはまだピンッとこないようだ。
    なかなか鈍いアリスに火村はチョイチョイとアリスを
    指だけで呼ぶと耳元で囁いてやる。
    「答えは・・・。」
    「うん、うん。」
    そのままアリスの耳朶をかぷっと噛んだ後ぺろっと
    首筋を舐めてやる。
    「ひゃっ!?」
    アリスは首を押えて後ずさった。
    そんなアリスを見て笑いながら再び鍋に向かい味見を
    して味を調える為に塩、胡椒をして火を止めた。
    「なにするんや!!」
    顔を赤くしてアリスは火村に文句を言う!
    「さあ、出来たぞ。アリス。」
    出来上がったホワイトシチューを皿によそいながら言う
    火村にアリスは怒りながら言う。
    「答え聞いてへんで!」
    シチューの皿を鈍いアリスに渡しながら火村は教えてやる。
    「性・感・帯。・・・だろ?」
    少しの間をおいてアリスは真っ赤になったのだ。
    真っ赤なアリスは真っ白なシチューを黙々と食べ、火村は
    そんなアリスをニヤニヤとして見ながらシチューを食べる。
    やっぱり今日も2人は幸せらしい・・・!?

    2001.01.25.aki


    シチューの作り方でした。(笑)
    でもこのとうりに作っても美味しいものが
    出来るとは思いませんけど・・・ね。
    そうか・・・、うちのアリスは左の首が
    弱いのか・・・。初めて知ったわ。