あかい糸

(犀川&萌絵ストーリー)


    「先生、伝説って信じます?」
    ある日の午後いつものように研究室へ
    遊びに来ていた萌絵が突然云いだした。
    萌絵が何を言いたいのか犀川としては見当もつかないので、
    「何の伝説のこと?資料でも必要なの?」
    と、とりあえず聞いてみた。
    「資料はいりません。赤い糸の伝説のことです。」
    萌絵は簡単に答えた。
    「・・・・・。西之園くんは、信じてるの?」
    「あら、私も女の子ですもの。」
    にっこりと笑って犀川を見ている。
    「ふうん。意外だね。そういうのには西之園くんは興味ないと思ってたよ。」
    適当に犀川は返事を返した。
    「ふふ。興味なさげね。先生。」
    「いや・・・。」
    指摘されちょっと言葉に詰まってしまう。
    実際、そんなものには全く興味が ないのだ。
    信じる、信じない以前の問題なのだ。
    そんな犀川を別に気にするわけでもなく萌絵は話を続ける。
    「小指から伸びている赤い糸は実は1本じゃないんですって。
    何本もその人が 恋をするだけあるんです。」
    「もちろん太いのも、細いのも、色の薄いものや濃い
    もの、
    短いの、長いのもあるんです。その中1本だけが運命の糸で、
    それを 選ぶのも選ばないのも私達に任せられているんだそうです。
    だから、一生気づかない人もこの世の中にはたくさんいるんですって。」
    萌絵はにこにこと笑いながら、楽しそうだ。
    「ふうん。」
    今日中に片付けたい仕事をしながら犀川は相槌をうつ。
    「でね、先生。」
    「んん?」
    「私は、運良く気づく事ができたと思いません?」
    「何に?」
    なんとなく次に続く言葉を予想しながら聞く。
    「先生に繋がってる運命の糸に。」
    窓から入ってくる日差しを浴びて、萌絵が微笑んでいる。
    その微笑を綺麗だと思いながら、
    さてどうしたものかと犀川は考えてしまった。



    2000.12.07 aki.




    今回は萌絵ちゃんのお話になりました。
    なんだかまた変なものを書いてしまった ようです。
    なんかakiの題材選びって センスの欠片もないわ・・・。
    日々精進致します。ではでは。