ヒトハダノオンドsaikawa_s一人暮らしには慣れたはずなのに・・・、 ある日フト自分独りしかいない部屋が広く感じてしまうコトがある。 パソコンのキーを打つ手を止めてしまうと、この部屋にはパソコンから の微かな機械音しかしなくなる。 犀川は軽く首の懲りをほぐすように回してから小さくため息を吐いた。 眼鏡を外し疲れた目元に手を当てる。 「なんだかなぁ・・・。」 犀川は呟くとチラリと机の上に置かれている時計に目をやる。 時刻は午前0時40分を少し過ぎたところであった。 時間を確かめてから少し長くなってしまった前髪をかきあげると 少しだけ考えて受話器手を伸ばした。 指先がしっかりと覚えてしまった番号を押していく。 数回の呼び出し音 「・・・はい・・・。」 珍しく眠っていたのかいつもとは違う少し不機嫌そうな声が聞こえてきた。 そういえばここのところ出張や論文のまとめなんかで忙しいと言っていた事を 犀川は思い出す。 いつもなら、気を使って切ってしまうのだが今日の犀川はそんなことは関係 ないのだ。 「もしもし・・・?」 何も云わない相手を不信思ったのか先程よりも険しい声になっている。 「・・・僕だけど。」 犀川は一言だけ言う。 「創平!?・・・どうしたの?」 めったに電話のこない意外な声に相手が驚きの声を出す。 「寝てたのか?それとも邪魔したか?」 犀川の言葉に受話器の向こうから息を飲む音がした後笑い声が聞こえてくる。 「何がおかしいんだ?」 「いや、別に。当たらずとも遠からず・・かな。」 犀川はため息をつく。 「一人で寝てたわけじゃないけど、邪魔したわけでもない、ね。」 また受話器の向こうから笑い声が伝わってくる。 「で、どうしたの?」 「・・・今さ、部屋に居たらすごく部屋が広く感じたんだよ。 そうしたら喜多に会いたくなったんだよ。どうしようか?」 犀川の言葉が終わらないうちに受話器の向こうからバタバタと音がする。 (ちょっと、先生!?どうゆうこと?) 聞き覚えのある女性の声がバタンと閉まる扉の音にかき消された。 「20分、いや、10分で着くから。」 言って唐突に電話が切れてしまった。 いつも余裕たっぷりの喜多が少しだけ慌ててる。 (たまには、いいよね。) 犀川は受話器を下ろし、時刻を確認するとパソコンの電源を落とす。 喜多が来たらどうやって迎えようか、いきなり抱きついたら驚くだろうか。 朝までギュッと抱きしめててもらおうか、それとも・・・。 もうすぐここに来る彼のことを考えてると少しだけ心が暖かくなる。 犀川は呼び鈴の音がするまで瞳をそっと閉じた。 一人で長く居すぎると一人に慣れすぎてしまうから、 こんな夜は意地を張らずに温度確かめずにはいられない。 2002/04/26/aki ひ・・・、久しぶりに駄文書いちゃった。 書かなきゃいけないよねぇ。(笑) しかし、久しぶりに書いたけど下手なのは仕方ないとして やっぱり書くのって楽しいってコトに気付きました。(笑) |