和紙自動車「Lantern Car

天然の和紙で包まれたボディ、内側全体から灯るつつましい光・・・        Lantern Car 蛍

スペック | 制作関係者 | 私感

■和紙自動車「Lantern Car“螢”」概要 (展示会のチラシを抜粋しました)
 版画家の山本容子氏が、約1年の歳月をかけて完成させた和紙自動車「Lantem Car“螢”」。1000年以上の伝統を持つ和紙と、最先端の照明技術、ゼロエミッション・ビークルとしての電気自動車、そして、大勢の人間の技と山本容子氏の独創力によって産み出されたこの作品は、r愛知万博」のテーマである「自然の叡智」を具現化すべく制作されたものです。
「Lantem Car“螢”」を実現させるためには、数多くの才能あふれる人々の技が注がれました。車全体を柔らかく包み込む和紙は、「大阪城天守閣」や「成田空港第一旅客ターミナル到着ロビー」など数多くの建築空間を和紙のアートワークで手がけている堀木エリ子氏が、厳冬の福井県武生の工房で、コウゾの樹皮を原料に、手作業で丹念に漉き重ねながら制作したものです。自動車全体の内部から灯る光は、スミソニアン博物館やニューヨーク近代美術館などの斬新な照明計画で知られているライティング・アーキテクトの豊久将三氏が、オプティカル・ファイバーという最先端の照明技術を駆使することによって実現させたものです。車体は「RAV4LEV」を原型モデルにした電気自動車で、モーターショウ出品車の製作やソーラーカーの開発など、これまで「夢のクルマ」を数多く形にしてきたトヨタテクノクラフト(株)の技術協力のもとに製作されました。「Lanrn Car“螢”」は、「自然環境との新しい関係作り」を模索する灯火です。本年6月1目より開催される「ハノーバー国際博覧会」の数ある展示物の中でも、最大級の話題を提供することでしょう。


Lantern Car“螢”外観

コックピット

シートもコウゾの紙

蛍の室内

 スペック等
動  力
 永久磁石モーター
電 池
 ニッケル水素電池
最高速度
 125km/h
全 長
 3880cm
航続距離
 125km(1回の充電につき)
全 幅
 1700cm
最高出力
 61ps
全 高
 187cm
最大トルク
 16.8kg
重 量
 1683kg

制作関係者プロフイール 一一一一(展示会のチラシを抜粋しました)
■山本容子(やまもと・ようこ)/版画家
 1952年浦和市生まれ、大阪育ち。78年京都市立芸術大学西洋画専攻科修了。吉本ばなな「TUGUMI」、集英社『世界の文学』をはじめ、数多くの書籍の装偵・挿画を手がける。また、油絵や水彩、エッセイ集、絵本を発表するほか、アクセサリーから壁画まで幅広い創作活動を展開している。98年はオペラ「モモ」の舞台美術と衣装を担当し、「Angel's Eye」ではCDプロデュースに初挑戦。今年、アートプロデュースしたホテルニューオータニ大阪のチャペルが4月にオープンする。「展覧会の展覧会」「わたしの美術遊園地」など著書多数。
■堀木エリ子(ほりき・えりこ)/和紙ディレクター
 1962年京都生まれ。87年「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマにSHIMUSを設立。建築、インテリア素材としてのオリジナル和紙の企画、和紙インテリアアートの製作から施工までを手がける。近年の作品は「大阪城天守閣」「グランヴィア京都ラ・フルール」「成田空港第1旅客ターミナル到着ロビー」のアートワーク等。また、99年は「ヨーヨーマ・シルクロードプロジェクト」舞台芸術(N.Yカーネギーホール)を手がけ大きな話題となった。著書に「和紙の光景一堀木エリ子とSHIMUSのインテリアワークス」がある。
■豊久将三(とよひさ・しょうぞう)/ライティング・アーキテクト
 1960年福岡市生まれ。84年国立豊橋技術科学大学物質工学修士課程修了。90年(株)キルトブランニングオフイス設立(照明計画)。98年SGF ASSOCIATE INC.(N.Y.)設立(照明計画)。スミソニアン博物館・ニューヨーク近代美術館・セントルイス美術館などの斬新な照明計画で知られており、近年では国立国会図書館・関西館の照明計画も手がけている。85年The Most Creative Use of Design賞受賞(ニューヨーク)、99年ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブADC賞銀賞受賞。
■小原敏夫(おばら・としお)/トヨタテクノクラフト(株)営業推進室主担当員
 1960年町田市生まれ。83年玉川大学工学部機械工学科卒業。同年4月(株)トヨペットサービスセンター(現・トヨタテクノクラフト(株))に入社、横浜工場開発室でモーターショウ出品車やラリー車のボデー開発を手がける。93年トヨタ自動車のソーラーカー「トヨタ56」開発に参加。豪州で行われた「第3回ワールド・ソーラー・チャレンジ(W.S.C)」6位入賞。ハンディーキャッパー用車両、RV車、スポーツユースのカスタムカー開発などを経て、現在は全社の営業推進業務、新商品の企画開発を担当。
・トヨタテクノクラフト(株)1954年の創業以来トヨタグループの「夢工場」として変わらぬ支持を集めている。@高い技術と経験で信頼できるサービスを提供する整備部門、A多種多様な特装車の開発・生産や、モーターショウに出品する夢のクルマを創る車両開発部門、Bスポーツパーツの開発・生産のほか、ルマン参戦のグループCカーや国内GTレースカーの開発に携り、トヨタモータースポーツのアジア拠点でもあるTRD、の3部門で構成される。特に今回、「Lantern Car“螢”」を製作した車両開発部は長年にわたって培った高い技術で、社会に役立つ夢のあるクルマを造り続けている。

「Lantern Car“螢”」を見た私感・・・
 この車は、上記概要によれば愛知万博のテーマ「自然の叡智」を具現化したものとのこと。確かに紙(特に手すきの紙)は自然の叡智そのもの、自然の叡智によって生まれ、育てられてきました。しかし、単にリサイクル可能なコウゾの和紙??(??は「和紙のような物」の意味で、この車に使われている紙のことを指します。)をボディーに使い電気自動車と組み合わせただけで、21世紀に開催される万博のテーマを具現化した物と言えるのでしょうか? 私は、この車を批判するつもりも否定するつもりもありません。ただ、世界中には自然の素材と先端技術がうまく機能し、デザイン的に優れ遊び心のある物がたくさんあると思うんです。蛍は、その中の一つだと思います。世界の目はそんなに甘いものではないと思いますが、みなさんのご感想は??
 地球環境が取りざたされる中、コウゾが蛍の素材に選ばれたことはとても嬉しいことで、感謝さえしています。この車を機に、和紙の用途が広がることを願っています。

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